2017.02.06
●追悼●
本日もお立ち寄りありがとうございます。
先日、爬虫類学の恩師である、ゴリス・リチャード先生が逝去されました。昨日は、通夜参列のため、早退させていただきました。ご来院いただいた飼い主様には、ご迷惑をおかけしまして、申し訳ありませんでした。
ゴリス先生は、長らくあちこち大病を患っておられましたが、最後の最後まで研究・教育活動に励まれ、昨年秋の「爬虫類の臨床と病理のための研究会」でも、特別講演をしてくださいました。ご挨拶の際に握った手がとても冷たくて心配でしたが、むしろ、うちのカミさんの健康状態を心配してくださって、恐縮しました。あれが最後のお別れになるとは。とても残念です。
ゴリス先生に親しくご指導いただくようになったのは、実は爬虫類がテーマではなく、チンチラ(げっ歯類のほうの)の飼育方法を習いに、ご自宅にお伺いした事がきっかけでした。
お葬式に、天皇陛下からお花が届くような偉い先生が、いきなり訪ねてきた若い衆に、延々3時間以上も熱心にご指導くださったことが、今となっては奇跡のようです。
あの当時は、チンチラが一般のペットとして販売され始めたばかりの最初の時期で、扱い方そのものがわからず、店に置いた段階で死亡が相次ぐような有様でした。
昔、私が講師をしていた専門学校の生徒が、今は無きバンビという総合ペットショップの三鷹店に就職し、次々と入荷するわけのわからん生物の扱いに手を焼いて、相談して来たのがきっかけだったと思います。
チンチラって、元気な時でもなんとなく不憫な雰囲気を漂わせている生き物なのに、それが次々死んでいく様は必要以上に気の毒で、私も「チンチラをなんとかせねば」と思い、立ち上がりました。
あの当時、チンチラの飼い方を正しく把握し、実践できていた日本人はおらず、唯一、ゴリス先生だけがご自宅で沢山のチンチラを(その時すでに20年以上のキャリア)飼育・繁殖しておられました。
ゴリス先生がチンチラをアメリカから輸入された当時は、まだエアコンが家電として普及しておらず、高額な冷房装置を設置しなければいけないわけですが、それだけでは、チンチラを飼うには不十分で、先生はケージから給水装置まですべてご自分で設計・制作されていました。
なんでもかんでもインターネットで情報をつまみ食いできて、ホームセンターにいけばいつでも生体が手にはいって、飼育の道具も餌もカンタンに手にはいる今の時代からは想像がつきません。
インタビューを続けるうちに、「これって、一般人が飼ったらダメな生き物だな・・」という実感がズッシリとのしかかりました。取材をもとに作成した何十枚ものテキストをゴリス先生に監修していただき、許可を得て、タダで配りまくりました。売りたいだけの業界と飼いたいだけの安易な飼い主には、かなり反感を買うテキストとなりましたが、一定の効果はあったように思います。思えば、当時は飼育本なんてものそんなに存在しませんでしたからね。
あの当時、世間はエキゾチックペットブームで、業界はイケイケのノリノリでした。
ゴリス先生の薫陶を受けた私は、「特殊な生き物を普通の人間が飼うべきでない」という結論に至り、今日までその考えをつらぬいています。その結果、業界ともマスコミとも相いれず、経済的にはパイを蹴った感がありますが、悪事に加担せずにやってこれたという自負があります。ゴリス先生のおかげです。
同様の薫陶を受けた恩師に、故千石正一先生がいらっしゃいます。ゴリス先生も千石先生も結婚式にご出席いいただき、公私共に可愛がっていただきました。
その、千石先生のご命日が、実は明日、2月7日です。
偶然とは言え、千石先生とも、秋の学会でお顔を拝見をして、それが最後のお別れで2月にお葬式でした。
2月というのは、今後、自分にとって、特別な月となることでしょう。恩師の教えを忘れず、これからも悪事に加担することなく チャラつかず 地道に行きたいと思います。天国から、私の貧乏暇無しっぷりを見守っていてください。
ゴリス先生。本当にありがとうございました。さようなら。
以上。三鷹・吉祥寺のペットドクター いのかしら公園動物病院の石橋でした。
先日、爬虫類学の恩師である、ゴリス・リチャード先生が逝去されました。昨日は、通夜参列のため、早退させていただきました。ご来院いただいた飼い主様には、ご迷惑をおかけしまして、申し訳ありませんでした。
ゴリス先生は、長らくあちこち大病を患っておられましたが、最後の最後まで研究・教育活動に励まれ、昨年秋の「爬虫類の臨床と病理のための研究会」でも、特別講演をしてくださいました。ご挨拶の際に握った手がとても冷たくて心配でしたが、むしろ、うちのカミさんの健康状態を心配してくださって、恐縮しました。あれが最後のお別れになるとは。とても残念です。
ゴリス先生に親しくご指導いただくようになったのは、実は爬虫類がテーマではなく、チンチラ(げっ歯類のほうの)の飼育方法を習いに、ご自宅にお伺いした事がきっかけでした。
お葬式に、天皇陛下からお花が届くような偉い先生が、いきなり訪ねてきた若い衆に、延々3時間以上も熱心にご指導くださったことが、今となっては奇跡のようです。
あの当時は、チンチラが一般のペットとして販売され始めたばかりの最初の時期で、扱い方そのものがわからず、店に置いた段階で死亡が相次ぐような有様でした。
昔、私が講師をしていた専門学校の生徒が、今は無きバンビという総合ペットショップの三鷹店に就職し、次々と入荷するわけのわからん生物の扱いに手を焼いて、相談して来たのがきっかけだったと思います。
チンチラって、元気な時でもなんとなく不憫な雰囲気を漂わせている生き物なのに、それが次々死んでいく様は必要以上に気の毒で、私も「チンチラをなんとかせねば」と思い、立ち上がりました。
あの当時、チンチラの飼い方を正しく把握し、実践できていた日本人はおらず、唯一、ゴリス先生だけがご自宅で沢山のチンチラを(その時すでに20年以上のキャリア)飼育・繁殖しておられました。
ゴリス先生がチンチラをアメリカから輸入された当時は、まだエアコンが家電として普及しておらず、高額な冷房装置を設置しなければいけないわけですが、それだけでは、チンチラを飼うには不十分で、先生はケージから給水装置まですべてご自分で設計・制作されていました。
なんでもかんでもインターネットで情報をつまみ食いできて、ホームセンターにいけばいつでも生体が手にはいって、飼育の道具も餌もカンタンに手にはいる今の時代からは想像がつきません。
インタビューを続けるうちに、「これって、一般人が飼ったらダメな生き物だな・・」という実感がズッシリとのしかかりました。取材をもとに作成した何十枚ものテキストをゴリス先生に監修していただき、許可を得て、タダで配りまくりました。売りたいだけの業界と飼いたいだけの安易な飼い主には、かなり反感を買うテキストとなりましたが、一定の効果はあったように思います。思えば、当時は飼育本なんてものそんなに存在しませんでしたからね。
あの当時、世間はエキゾチックペットブームで、業界はイケイケのノリノリでした。
ゴリス先生の薫陶を受けた私は、「特殊な生き物を普通の人間が飼うべきでない」という結論に至り、今日までその考えをつらぬいています。その結果、業界ともマスコミとも相いれず、経済的にはパイを蹴った感がありますが、悪事に加担せずにやってこれたという自負があります。ゴリス先生のおかげです。
同様の薫陶を受けた恩師に、故千石正一先生がいらっしゃいます。ゴリス先生も千石先生も結婚式にご出席いいただき、公私共に可愛がっていただきました。
その、千石先生のご命日が、実は明日、2月7日です。
偶然とは言え、千石先生とも、秋の学会でお顔を拝見をして、それが最後のお別れで2月にお葬式でした。
2月というのは、今後、自分にとって、特別な月となることでしょう。恩師の教えを忘れず、これからも悪事に加担することなく チャラつかず 地道に行きたいと思います。天国から、私の貧乏暇無しっぷりを見守っていてください。
ゴリス先生。本当にありがとうございました。さようなら。
以上。三鷹・吉祥寺のペットドクター いのかしら公園動物病院の石橋でした。