2016.09.29

●白鳥はかなしからずや●

本日もお立ち寄りありがとうございます。
 
 突然ですが・・フェイスブックもやらず、携帯すら持たない私を、「友達のいない変人」と揶揄する輩がおります(笑)。

 携帯もってないと友達がいないとか、いきなり話が飛躍しすぎ。

 まぁ・・たしかにね。自身の拙い経験値からくる雑な仮定を迷わず断定してしまうような愚か者と、友達になることはないですけどね。まったくもって失礼な話であります。

 まぁ、フェイスブックを見る限り、知り合いと友人の区別もつかないナァナァなノリに、「友だち」ってのも安くなったもんだなぁと思います。

 私のまわりにいる牧水先生たちから、染まず漂うことを「かなしからずや」と問われる時、「大きなお世話だ」としか答えようがありません。そもそも哀愁を帯びて漂ってる覚えもなく、家と仕事場の行き来だけの日常に、スマホなんていらねぇよと。ただそれだけの話です。自宅にも職場にもパソコンと電話があるわけだから・・。

 ってな具合の不毛なやりとりを、ここ数年展開してきた私ですけどね。世間ではいよいよ公衆電話というものが絶滅の危機に瀕してきておりましてね。いやほんと。見つからなくて困るレベルに。

 カミさんの仕事復帰とともに外向きの用事も再開しつつある私に、にわかに携帯電話の需要が・・・。 買いますかね・・携帯。 川満スーパーとカンピラ荘の間にあった電話ボックスが無くなってたら買いますかね。

 ちなみに、スマホまではいらねぇからガラケーかな・・とか言ったら、学生さんに、「それっておじぃちゃんが使うカンタン携帯とかですか?」とか鼻で笑われましてね。黙ってりゃ美人なのに、どの口がそういう意地悪いいますかね。憎まれ口きいてる暇があったら国家試験の心配でもしやがれと。

 で・・・話は、青い空の下、藍い海を漂う海鳥にもどりますが。

 彼らの場合、生き残るため、ひたすらキビナゴとイカを探して飛び回っているだけの 万年飢餓状態ですからね。牧水先生の問いかけは、それこそ「おおきなお世話だ。今それどこじゃねぇんだって サカナが逃げちまうから どっか行ってくれ」ってなところでしょう。

 ちなみに、「空の青、海のあを」の色彩を、眼の性能として、ちゃんと識別できている鳥類にとって、自らの純白は、哀しいとか哀しくないどころの話しではありません。「やべっ。空からハヤブサに狙われたらイチコロだな・・・」くらいの危機感をもっているはず。とっとと腹いっぱいになってこの場を去ろうと必死になっているハズですから 哀愁ゼロ。

 一方、下手な人間よりも知能が高いと言われている、イルカやクジラはどんな想いで大海原を駆け巡っているのか。

 イルカだったら、「哀しからずや」の問いかけに、ちゃんと答えてくれる高度な精神を持っているかもしれません。

 そんな疑問に対して、このまえの宮崎の学会のセミナーで、衝撃の事実を聞かされました。

 学会では、「海獣類の眼科学」というセミナーが開かれ、私も、「うちの病院に、いつシロナガスクジラが目を抑えながらやってきても大丈夫なように」このセミナーを受講しました。

 そこで、知った衝撃の事実。

 イルカとかクジラは、青い色が見えないんだそうですよ。

 真っ青な空と、深く蒼い海。せっかく素敵な景色の中で暮らしてるのに、それを「きれいだなー」って感動できないなんて!!

 それこそ 哀しからずや です。
 
 海獣は かなしからずや
 空の青 海のあをすら 知らずただよふ。

 哀しすぎの事実です。

 子供の頃、クラスメイトの誰の家よりもカラーテレビの導入が遅く、マジンガーZの胸についてるパーツが赤いってことを、あたかも知ってるふうに話をあわせなければならなかった哀しい思い出がよみがえりました。そもそも、カラーテレビは目が悪くなるから・・・っていうウチの親の学説はどこからきたんでしょう。仏壇に向かって小一時間説教してやりたいですな。

 そんな話を西表島の「海の漢(をとこ)」にしたらですね。

 「イルカは広い海の中で、人間には見えない、もっと素敵なものを沢山見ているから大丈夫なんだよ。」

 ですって! 

 よかったなぁ イルカ!

 さすが 西表自然美術館館長! 
 ナニワのポール・ニックレン! 言うことが違う。

 一瞬で宮崎以来のモヤモヤが解消しましたわ。
 
      以上。三鷹・吉祥寺のペットドクター いのかしら公園動物病院の石橋でした。