2016.04.14

●メンチを切る●

本日もお立ち寄りありがとうございます。

眉間に力いっぱいシワをつくってアゴをひき、軽くうなずくように顔を上下させ、相手の全身を舐めまわすように見てから、視線を相手の目にロックオン。目をそらさないように気をつけながら、さらに眉間に力をこめてシワをつくり、片方の眉を力いっぱい下げ、もう片方の眉を力いっぱいあげ、やや首をかしげた格好で、ひたすら相手の目を睨み続けて威嚇することを、メンチを切る といいます。このとき、口はおもいっきりゆがめておくのがポイントです。単なる変顔と、どこが違うのかよくわかりませんが、そこは馬鹿のやることですからおおめに見ないといけません。

 前回、オウムと道に迷った外国人が寄ってくる特異体質があると書きましたが、このほか、道に迷ったおばあちゃんも寄ってくる傾向があります。人ごみで、結構はなれた場所から、モーゼのように、バキバキバキっと人ごみを割って、おばーちゃんが一筋の道を歩みよってくる姿は、「あ・・・・まただ・・」って感じの光景です。地声がでかいので、お年寄り受けするのは自然の流れだと自覚しているのですが、遠くに立っている、見ず知らずのお年寄りが、私の声がでかくて聞き取りやすいなんて事を知るよしもないハズなので不思議です。

 動物看護学校の講師をしていたころ、当時の生徒だった18-20歳前後の女性たちには、「先生って、いつも眉間にシワがはいってて 近寄ってくんなオーラがハンパないよね・・」と、よく言われました。そんなこと言わずに寄ってきて欲しかったですけどね。亡くなった父親にも、「おまえはどうして いつもそんなに眉間にシワをつくって不機嫌そうな顔をしているんだ」と幾度となく言われましたし、今も、娘と会話をしている最中に、娘が私の眉間に手をのばしてきて、シワを左右に押し広げつつ「駄目だ・・・延ばしてもシワが残っちゃうわ」と言われます。なので、お年寄りが、私のことを「優しそうな、親切そうな人」と認識してエジプトから渡ってきているとは思えません。謎です。

 そして、お年寄り以外にも、私に寄ってくる人たちがいます。それは、不良少年です。

 さすがに今の私に不良少年が寄ってきたら、それは親爺狩りという別のジャンルの話になりますので、別の機会にしたいと思いますが、なにしろ中学高校の時には、ほんとによく不良少年にからまれました。いまは不良少年のことをヤンキー(キにアクセント)といいますが、当時は、ツッパリといいました。

 「てめぇ! メンチ切ってんのか コラァ!」って初めてツッパリの方に言われたときには、咄嗟に何を言われているのかわからず(品行方正な少年だったのでそういう言葉に詳しくありません)、ただ漠然とメンチカツが包丁で切られていく画が浮かんでキョトンとしたものです。いったい私が何を?? え? メンチ・カツ?って。

 そもそも変顔と見まごうばかりの、ちょっと笑っちゃう顔でメンチを切っているのは、お怒りになっている彼であって、私ではありません。全く理不尽な話しです。

 その後、あまりにも沢山の方にメンチを切っていただいたものですから、冒頭のように、正しいメンチの切り方をスラスラと解説できるまでになりました。出来れば、三原順子さんのような感じの女性の不良(当時はスケバンと呼ばれていました)にからまれたかったなぁと残念に思います。「顔はバレるからボディにしな!」とかね。 あれって有名なセリフですけど、冷静になって考えてみると、姑息な手口ですよね。 

 で・・・。写真ですが。
 オウムにじゃれかかろうとしたものの、全身全霊のメンチを切られ、ちょっとたじろぐ白黒さんの図。
 オウムって眉間にシワを入れられないけれど、目の周りのシワシワで表情がつくれるので、感情がよみとりやすいです。
 写真のオウム(オウム本人の申告でウィちゃんという名前になっております)は、「やんのか? ゴルァ!!」と凄んでおります。

 長い前フリだこと・・・・。 しかも本題 みじかいし。

   以上。三鷹・吉祥寺のペットドクター いのかしら公園動物病院の石橋でした。