2016.03.09
●卵かけご飯のこと 前篇●

本日も お立ち寄りありがとうございます。
火曜日とうってかわって気温が低いですね。皆さま風邪など召しませんように。
さて。前回からの流れで、卵の話でございます。
野生動物医学の研修先のフロリダの食料品店でのこと。
ある日、卵をおいてあるコーナーで不審な動きをする女性を見かけました。最初は大して気にも留めませんでしたが、その後、卵売り場に行くたびに、必ずといっていいほど不審な動きをする女性がいるので、だんだん気になってきました。しかも、毎回、別の人物ですし、別の店でも、同じ動きをする人が卵売り場にいるのです。
彼女たちは、山のように積んである卵のパックの全てに、ものすごいスピードで手を伸ばして何かをしているのですが、あまりに素早くて、最初は何をやっているのか、遠目には判りませんでした。
面白いので、よく観察していると、どうやら、素早くパックを取り、蓋を開け、中を確認し、パックを閉じて積み荷の山にもどす・・という一連の動作を、目にもとまらぬ速さで繰り返しているのです。奥歯の横の加速装置のスイッチでも入れたのか?ってくらいのスピードで。効果音を入れるとしたら、北斗の拳の「あたたたたたたたたたたたたっ」ってのがぴったりな感じです。
その所作には一切の無駄がなく、とくに腕や指の長い、スマートな黒人の女性なんかだと、一種の美しさを感じるほどでした。
なるほど、何をやっているのかは判りました。しかし、何でそんなことをやっているのかはわかりません。作業をしているのは、店の人ではなく、あくまでも客のようです。謎です。
そこで、北斗神拳の継承者たちが卵コーナーから去ったあと、彼女たちのチェックしていた卵のパックを調べてみることにしました。全米でそうなのかは知りませんが、私が通っていた数件のスーパーに流通していた卵のパックは、すべてボール紙制のもので、蓋をあけないと中の確認ができません。
蓋をあけて驚きましたよ。
効果音にするとすれば、「あちゃちゃちゃちゃちゃちゃ・・」って感じ。
もうね。卵ちゃん割れまくり。アヒルのジマイマもびっくりな光景です。
要するにこういうことです。お客様のトランクをぶん投げて壊すのがアタリマエの空港職員に代表されるアメリカ人の社会においては、卵を割らずに流通させるスキルを持ち合わせた運送屋はいないってことで、さらには店頭に並べるときにも、卵を丁寧に扱おうなんてスーパー店員はいないらしく、消費者の手の届くところに並んだ卵のパックには、非常に高い割合で破損した卵が含まれいる。ということだったのです。
「自分だけは損をしたくない」という強い魂をもったアメリカ人達は、少しでも破損が少ないパックを買おうと、必死で選別をしていたんですね。
ところが、皆さんが寄ってたかって 「あたたたたたたたたたたたたっ」とやるもんですから、卵ちゃんたちは、さらに破損。
しかも、アメリカ人という母集団の中におけるケンシロウとハート様の割合は1対9くらいなので、最終的には卵パックの山がほぼ壊滅状態となるわけです。
美しいかに見えたその所作は、スピードだけを念頭におき、丁寧に扱うという概念を極限まで省いた末の、「無駄のない動き」 だったわけです。次にこのパックを手にとる人のこととか考えていたら、あの無駄のない美しい動きにはならないと・・・。
やっぱアメリカ人にはかないません と感心しつつも、ここで疑問がもう一つ。
なんで そんなに必死なの? ちょっとくらい割れてても、早めに食べちゃえばいいんじゃない?
前置きが長すぎですけど つづく!
以上。三鷹・吉祥寺のペットドクター いのかしら公園動物病院の石橋でした。
火曜日とうってかわって気温が低いですね。皆さま風邪など召しませんように。
さて。前回からの流れで、卵の話でございます。
野生動物医学の研修先のフロリダの食料品店でのこと。
ある日、卵をおいてあるコーナーで不審な動きをする女性を見かけました。最初は大して気にも留めませんでしたが、その後、卵売り場に行くたびに、必ずといっていいほど不審な動きをする女性がいるので、だんだん気になってきました。しかも、毎回、別の人物ですし、別の店でも、同じ動きをする人が卵売り場にいるのです。
彼女たちは、山のように積んである卵のパックの全てに、ものすごいスピードで手を伸ばして何かをしているのですが、あまりに素早くて、最初は何をやっているのか、遠目には判りませんでした。
面白いので、よく観察していると、どうやら、素早くパックを取り、蓋を開け、中を確認し、パックを閉じて積み荷の山にもどす・・という一連の動作を、目にもとまらぬ速さで繰り返しているのです。奥歯の横の加速装置のスイッチでも入れたのか?ってくらいのスピードで。効果音を入れるとしたら、北斗の拳の「あたたたたたたたたたたたたっ」ってのがぴったりな感じです。
その所作には一切の無駄がなく、とくに腕や指の長い、スマートな黒人の女性なんかだと、一種の美しさを感じるほどでした。
なるほど、何をやっているのかは判りました。しかし、何でそんなことをやっているのかはわかりません。作業をしているのは、店の人ではなく、あくまでも客のようです。謎です。
そこで、北斗神拳の継承者たちが卵コーナーから去ったあと、彼女たちのチェックしていた卵のパックを調べてみることにしました。全米でそうなのかは知りませんが、私が通っていた数件のスーパーに流通していた卵のパックは、すべてボール紙制のもので、蓋をあけないと中の確認ができません。
蓋をあけて驚きましたよ。
効果音にするとすれば、「あちゃちゃちゃちゃちゃちゃ・・」って感じ。
もうね。卵ちゃん割れまくり。アヒルのジマイマもびっくりな光景です。
要するにこういうことです。お客様のトランクをぶん投げて壊すのがアタリマエの空港職員に代表されるアメリカ人の社会においては、卵を割らずに流通させるスキルを持ち合わせた運送屋はいないってことで、さらには店頭に並べるときにも、卵を丁寧に扱おうなんてスーパー店員はいないらしく、消費者の手の届くところに並んだ卵のパックには、非常に高い割合で破損した卵が含まれいる。ということだったのです。
「自分だけは損をしたくない」という強い魂をもったアメリカ人達は、少しでも破損が少ないパックを買おうと、必死で選別をしていたんですね。
ところが、皆さんが寄ってたかって 「あたたたたたたたたたたたたっ」とやるもんですから、卵ちゃんたちは、さらに破損。
しかも、アメリカ人という母集団の中におけるケンシロウとハート様の割合は1対9くらいなので、最終的には卵パックの山がほぼ壊滅状態となるわけです。
美しいかに見えたその所作は、スピードだけを念頭におき、丁寧に扱うという概念を極限まで省いた末の、「無駄のない動き」 だったわけです。次にこのパックを手にとる人のこととか考えていたら、あの無駄のない美しい動きにはならないと・・・。
やっぱアメリカ人にはかないません と感心しつつも、ここで疑問がもう一つ。
なんで そんなに必死なの? ちょっとくらい割れてても、早めに食べちゃえばいいんじゃない?
前置きが長すぎですけど つづく!
以上。三鷹・吉祥寺のペットドクター いのかしら公園動物病院の石橋でした。