2016.02.17

●猟期が終わって・・●

本日も お立ち寄りありがとうございます。

 2月15日は猟期の最終日。
 ご存知、西表島のロビンソンさんから、今年度最後の出猟の御写真が送られてきました。

 昨今、シカやイノシシの農業被害が増え、狩猟の重要性が見直されてきています。特に、ハンターの高齢化が進み、有害鳥獣駆除の担い手が足りないことが問題となっています。
 そんな話題がここ数年、新聞や雑誌で紹介されておりましたら、山ガールを牽引力としたアウトドアブームの再来とリンクして、狩猟をやろうという若者が増え始めたようです。

 ただですね。なんでもブームってのは弊害を伴いますからね。皆さん 気を引き締めてハンターになって欲しいと思います。なんたって、相手は鉄砲ですからね。使い方間違うと死人が出ます。

 あとは、ジビエの間違った扱い。これも怖い。撃ち取ったシカやイノシシは、いわゆる精肉じゃありませんからね。通常の食品として考えてはいけません。あくまでも野生動物の肉体。なんらかの感染源として捉えるべきです。
 最近、気になったのが、俄かアウトドアブームにのっかった雑誌に出ていた記事。鹿を解体しながら、つまみ食いと称して生で食べているんですよ。読者の突っ込みに対応するため、あくまでも自己責任で・・・・とかなんとか書いてますけどね。責任ある活字の筆者として、そんな記事を載せた段階で、アウトでしょ。アウトなアウトドア雑誌ってシャレにもならんわ。
 
 犬や猫の餌用の冷凍鹿肉もしかり。あれは食品ではないですからね。台所での取扱には十分気をつけてください。台所の食器や調理器具の汚染や、調理者の手の傷なんかにも配慮しながら手作りフードをつくってくださいませ。ちなみに 私だったら 生では与えません。

 なんというか、一歩間違うとエライことになっちゃう類の趣味が、思ったより手近になっているのが怖いです。井の頭公園でタカとばしたりとかね。その背景には、十分な経験と自制心、責任感があってしかるべきなのに。

 そうそう。このまえ治療した野生のハヤブサに、散弾銃の弾が入ってたんで摘出しました。都会の動物病院で銃創の症例に出会うことってまずないですけど、チョウゲンボウ・オオハクチョウに続いてこれで3例目になります。あかんたれなハンターがいる証拠です。

 写真では、素敵な笑顔のロビンソンさんですが、猟の時のロビンソンさんの慎重さといったら、そりゃもう凄いもんです。

 だれだって沢山の獲物が欲しいに決まっているわけですから、獲物が出たらすぐに撃てる態勢で猟に臨むわけですが、ロビンソンさんは違います。

 ロビンソンさんは、獲物が出てから弾を込める。

 どう考えても効率悪いですけど、足場の悪い西表のジャングルでの暴発事故はこれで防げるわけです。獲物と間違えて仲間を撃ってしまうなんて事故も、このワンクッションがあるだけでなくなります。鳩間島の「めぇかぁ」さんがゴミ捨て場の藻屑と消えなかったのも、ロビンソンさんのこの 撃ち急がない姿勢 あったらばこそ。
 
 自らに課した、獲物が出てから弾を込めるという絶対ルールの中での狩猟。それに加えて、圧倒的な経験値と、常に冷静な心。さらに動物以上に鋭いカン。超人的な体力。 ロビンソンさんには トラかと思ったら「鹿でした!」 なんてことは絶対にない。「目がグリーン」でも間違えない。

 猟ってのはこういう人がするもんなんだなぁと思うと、私なんぞはおいそれと狩猟免許をとりましょうか なんてことを夢にも思えなくなりますな。足腰の強度から言っても、銃を持っちゃだめな人の部類に入ると思います。

 ただし、東京でもこの先、アライグマ出没事件が多発することが予想されるので、私も麻酔銃を所持する必要性が出てきます。山でシカは撃たないけれど、いつかは狩猟免許をとらないといけない気がしています。

 まぁ・・麻酔銃は空気銃なんで、それほど大そうなことでもないんですけどね。


 以上。三鷹・吉祥寺のペットドクター いのかしら公園動物病院の石橋でした。