2015.09.28

●Supermoon●

中秋の名月でございます。昨夜は暦の十五夜で、今夜は天文学上の満月。お月見三昧の2日間です。お団子を作った手がこころなしか奇麗になっていると感じた貴方は、なるべくお早目にお召し上がりください。常温で永く飾ったあとに食べるのは危険です。
さて。今宵の満月は地球に最接近のスーパームーンだそうです。通常の満月よりお得な15%増量中なので、夜道も安心。ウサちゃんたちもいつもより高めに跳ねていることでしょう。ウサギは骨が脆いですから、骨折には気をつけていただきたいものです。

ウサギが月夜に跳ねるという俗説は、献身を教える仏教の説話に由来するといわれていますが、100年以上前のアメリカの動物文学にも、満月の夜にウサギが集団で大騒ぎをするというエピソードが紹介されています。自然や動物が大好きな良い子たちのバイブル。ご存じシートン動物記であります。月の模様はウサギでもカニでもなく、女性の顔である!と言い張るアメリカ人が、当時、仏教とは無縁の世界観の中で、私たち日本人と同じように「ウサギは満月の夜に跳ねる」と言っているのは、大変興味深いことです。これについて、動物学者は「多くの生物の生理現象は月の引力に影響されているので、満月の夜にウサギが繁殖行動の一環として大騒ぎしても不思議ではない」と解説しています。付け加えるならば、満月の夜だと、夜目の効かない人間でも野生動物の観察が可能となるので、月夜にウサギが跳ねている姿が目撃されるのは道理で、実際には、満月と同じく大潮となる新月の真っ暗闇の中でも、ウサギたちは跳ねているのかもしれません。私たちには見えないだけで。ただ、暗闇で跳ねてもらっても可愛くないし、風情もありませんよね。

風情がないと言えば。スーパームーンという単語。向島の芸者衆と、朱塗りの大杯に月影を浮かべ、純米大吟醸を一献・・・・・なんていう日本情緒あふれるお月見の風景が、スーパームーンの一言で、六本木のバニーガールに囲まれて、テキーラを灰皿で一気飲み・・・といった残念な画になってしまいます。スーパームーン・・・お月見の席では禁句ですな。

あ! それから 明日は火曜日。休診日です。お間違えのないよう よろしくお願いいたします。私は、朝に入院動物のケアをしたあと、富士山麓に大蛇の往診にいきますので、何かあっても 一日ほぼ対応できません。何事もありませんように お祈り申し上げます。


以上。三鷹吉祥寺のペットドクターいのかしら公園動物病院の石橋でした。