2017.09.09

●ホントにホントにライオンか?●

本日もお立ち寄りありがとうございます。

 某動物園の話題のつづきから。

 突然ですが。動物園のサル山のサルって、全身脱毛でハゲちゃびんのサルが多いじゃないですか。

 皮膚病なんだか、ストレスで毛づくろいしすぎなのか知りませんけど、なんかみすぼらしいですよね。

 そのハゲ猿の山を憂いた、とある飼育係がこう言いました。

 「子供たちにとって、生まれて初めて見るサルがあのサルだとうことを、我々は真剣に考えないといけない。あの姿を見て、サルというものが、あのような姿の生き物だと認識してしまうのは悲劇だ。我々は、動物本来の健康で生き生きとした姿を、来場者にお見せする義務がある」(熱い感じで)

 なるほど。ダメ人間の割にはいい事言うな。と感心しました。

 最近は、行動展示とか、環境エンリッチメントといった概念が普及して、動物園の展示も、かなり改善されてきた気がします。

 とはいえ、動物園というのは、維持に莫大なお金がかかるので、動物の健康や福祉が最優先というわけにもいかないようです。

 なので、ベストコンディションとは言い難い動物が、「可哀想な感じ」で展示されている姿は、以前とかわらず、あちこちの動物園で散見されます。

 昨今では、動物愛護団体の方の怒りの矛先が、イルカ漁や捕鯨や極悪ペットショップや犬猫の殺処分といった定番の問題以外に、サーカスや動物園にも向けられています。

 いわく、動物のいるサーカスはいらない!動物園を無くそう!という運動です。

 私は、どっちかいったら、たいていの人類よりも動物の幸せを真剣に考えている側の人間だと思いますが、一方で、動物園や動物のでてくるサーカスにワクワクしてしまう方なので、どちらも無くなってしまうのは悲しいです。

 私のように、動物園動物の福祉に心をいためつつも、動物の迫力ある美しい姿を間近で見れられることに無常の喜びを感じるという矛盾した感性をもった人間が、動物園に行くと、けっこうめんどくさい状態になります。

 おまけに、動物の健康状態にやたら目が行くという職業病まであるので始末が悪いです。

 「朝一のバスなんで、ライオンはお腹をすかせてますから、すぐ群がってきて食べてくれますよぉ~」というアナウンスに、娘と二人でワクワクしながら、トングで鶏肉をつかんで、車外に差し出したときの事です。

 バスのすぐ近くにいるのに、力なく横たわったまま、苦しそうに口呼吸をしている雄ライオンが目につきました。

 その雄ライオンを見ると、アゴと額に大きな傷を負っているようでした。

 しかも、その雄ライオンに寄り添って、我々を威嚇し、必死に彼をかばうような態度をとるメスライオンが一頭。

 どういう関係の2頭なのかはわかりませんが、メスライオンは、雄ライオンを舐めてあげたり、頭をスリスリしたり、我々とバスの間に立ちふさがって 「何ジロジロみてんだよ あっちいけよ」って睨みつけてきます。

 その様子をみてたら さっきまでのワクワク感がどっかにいってしまって、ちょっと泣きそうでした。

 バスとの距離が近かったので、雄ライオンからは、いわゆる動物園の匂いとは別に「膿んじゃってる匂い」がプンプンただよってきてます。

 広い敷地とはいえ、あの数だし。喧嘩が絶えないんでしょうかね・・・。

 しかも なんか ここのライオン みんなちっちゃいような気がします。体格が・・・。そういう亜種なのかどうかは知りませんが、なんか みんなちっちゃい。ホントにホントにライオンかぁ?♪ってくらい ちいちゃくみえる。目の錯覚だといいですけど。

 愛護団体の方たちだったら、相当なバッシングが飛び出る場面かもしれません。

 しかし! 私は違います。個人が動物園の動物のためにしてあげられる、いちばんわかりやすい方法を知っていますから。

 まず、可能な限り、足しげく動物園に通うのです。近所の動物園だったら年間パスくらいもってないといけません。

 そして、食事は園内の飲食施設でとります。美味しいおべんとうを作ってくれるお母さんが、いてもいなくても、動物園のクソ不味い飲食施設を利用します。水筒なんかもっていきません。園内で飲み物を買います。

 帰りには、ギフトショップでお土産を買います。動物のTシャツとか、外で着ているとあきらかに恥ずかしい、非常にストレートな動物柄ですけど 買います。

 動物の里親制度みたいなものがあったら、応募します。

 要するに、みんなで動物園にいっぱいお金を落とすことが、直接的に動物を救うことになるのです。笑点を観るだけじゃなくて、高座に足を運びましょう!ってのと一緒。

 たぶん いやがらせ的な圧力をかけて、動物園を潰そうという運動をするより、現実的だし、即効性があると思います。

 あとは、直接動物のためになるわけではないけれど、こっちの気持ちの問題も大切だと思ってます。

 心の中で、「今日は見学させてくれてありがとう。狭い中にとじこめてごめんね。」と祈ります。

 謝罪と感謝の気持ちです。

 なんの足しにもなりませんが、みんながそういう気持ちをもって動物園にいけば、大声を出して動物をおどかしたりするバカな子供や、食べ物を動物に投げ入れる大バカ者も減ると思います。

 そして、動物の姿をよおく観察し、解説ボードをよおく読んで、深く動物を理解し、しっかり勉強して帰る。

 相手が命を削って見世物になってるんだから、こっちも真摯な気持ちを込めて観覧する。

 まったくもって釣り合わない不公平さだけど、最低限の姿勢ということです。

 せっかくのお出かけなのに、そんな重い訓示を娘に言い聞かせる、めんどくせーオヤジであります。口をきいてもらえなくなるまで 残り2年。いまのうちです。

次回、「涙の昆虫サファリ」で動物園ネタをひっぱります。

 写真は、西表島のハマクマノミ。 ニモよかでかくて見栄えがいいクマノミです。どうでしょう班に捕獲された子の子孫かもしれません。

  以上。三鷹・吉祥寺のペットドクター いのかしら公園動物病院の石橋でした。